毎年恒例、板橋区立美術館で開催されている「2023イタリアボローニャ国際絵本原画展」(以下、ボローニャ展)を今年も観に行ってきました!
絵本制作の勉強を始めた今年は、どんな風に描いているのか?日本人は入賞しているのか?など、少し違う視点で観ることができました。そんなボローニャ展を観に行った感想を書きたいと思います。
- 値段がリーズナブル!ボローニャ展
- イタリアボローニャ国際絵本原画展とは?
- 全体の感想
- ブックフェア60回目の開催を記念した、イラスト展示
- 触って視る絵本のコーナー
- 入選した日本人作家
- 好きな作家、スージー・リーさん
- 入選した作家の絵本が読める!
- イベントも色々
- おまけ
- 美術館巡りのおすすめ記事
値段がリーズナブル!ボローニャ展
区立だからか、まさかの大人650円でした。最近2000円くらいの美術展が多い中、リーズナブルでびっくり!
昨年の記事にも書いたようにアクセスが悪いのがネックですが、、親子で一緒に観に行くのにも良さそうです。
昨年のボローニャ展の感想はこちら↓
イタリアボローニャ国際絵本原画展とは?
そもそも「ボローニャ国際絵本原画展」って何?という方がほとんどだと思うので、ちょっと説明を。
「ボローニャ国際絵本原画展」は、イタリアの古都ボローニャで毎年開催されている絵本原画コンクールの入選作品による展覧会です。ちなみにボローニャって、一般的には絵本よりは美食の街として、スパゲッティボロネーゼ(ミートソース)とか、ボローニャソーセージとかが有名です。
絵本原画コンクールは、世界で唯一の子どもの本専門の国際見本市(Bologna Children’s Book Fair)のイベントの1つとして1967年に始まりました。子どもの本のために制作された作品を5枚1組にすれば誰でも応募可能なため、「ボローニャ国際絵本原画展」は、たんなる展覧会ではなく、世界中の新人イラストレーターたちの登竜門としての役割をはたす場となっています。
2023年は、世界91か国から過去最多の4,345件もの応募があり、日本を含む27か国79人(組)が入選しているそうです。
全体の感想
ほぼ全て写真NGなので、あまり作品を載せられないのが残念ですが、感想を書きたいと思います!
今回ボローニャ展を観て、改めてデジタルを使用した作品が多いなと思いました。「原画展」と言ってますが、ほとんど出力なのがちょっと残念。
作る側からすると効率いいので、デジタル作品が多くなるのはよくわかります! でも、見る側からするとやっぱりアナログ作品は色や素材の見応えや迫力があって魅力的でした。
今回は日本人がどのくらい入選しているのかも気にしながら見ました。日本人は全部で5名いて、どの作品も洗練されていました。後ほど詳しく書きたいと思います。
また、特別展示として、コンクールを主催するブックフェアの60回目の開催を記念した20枚のイラストの展示や、美術作品へのアクセシビリティの向上のため、2023年のボローニャ展入選作品の中から選ばれた5枚の触察パネルの展示があり、新しい体験もできました。
ブックフェア60回目の開催を記念した、イラスト展示
こちらは唯一、写真可能だった展示。イラストコンペをする予定が、結局全部のイラストを使用することにしたそう。原画ではなかったですが、同じ色味で色々なイラストがあって面白かったです。
触って視る絵本のコーナー
目が見えない方の美術作品へのアクセシビリティの向上のため、2023年のボローニャ展入選作品の中から、5枚の絵が触察パネルになって展示されていました。イラストレーションを触って「視る」という新たな鑑賞を体験する試みのようです。
触察パネルを目をつぶって触ってみましたが、慣れないせいか、あまりよくわかりませんでした。慣れが必要なんでしょうね。
引用:板橋区立美術館公式X
触察パネルの展示の隣に展示されていた、イタリアの「さわる絵本」がとても面白かったです。これは、視覚障がい者の学校や仕事、社会生活での活動をサポートする活動をしている「イタリア全国視覚障がい者支援施設連盟」が出版しているものだそう。
「さわる絵本」は、見えない、または見えにくい子どもたちが初めて手にする本ですが、2次元的なフラットな絵にはない立体感や、触覚を楽しむことができ、全ての子どもが楽しめるとありました。
私も実際に読んでみましたが、五感で楽しむことができて新鮮でした。例えば、海を題材にした絵本では、実際に貝殻が付いていて触ることができたり、波が薄い布で表現されていたり、なるほどな〜と思いました。
「かげ」
色んな大きさの影が出てきます。影はザラザラした触感の紙?で表現されているので、形や大きさが触ってすぐにわかります。最後に等身大の影が畳まれて入っていたのも面白かったです。
「のはら」
植物の生えている様子が色んな素材で表現されていました。写真はふわふわした素材で草を表現しています。
入選した日本人作家
「2023イタリアボローニャ国際絵本原画展」では、日本人作家が5名入選していました。入選をきっかけにボローニャに赴き、ブックフェアで各国の出版社と出会い、海外で絵本を出版するというケースもあるそうです。
日本からも毎年多くのイラストレーターが出品しており、第1回展に松原直子さんが入選して以来、毎年入選を果たしています。
今回入賞した日本人作家の作品は、どれも洗練されていておしゃれな雰囲気でした。入選されたのは下記の5名です。
- あお木たかこさん
- 木村友美さん
- さぶ さちえさん
- スズキトモコさん
- 寺澤智恵子さん
個人的には、あお木たかこさん、木村友美さんの絵が好きでした。2人とも外人っぽい雰囲気の素敵な絵です。
また、寺澤智恵子さんの切り絵は細かくて、アナログで制作されている原画の迫力を感じました!!
好きな作家、スージー・リーさん
2023年のボローニャ展公式図録の表紙制作をした作家が、スージー・リーさんです。
スージーリーさんは10年以上前から気になっていた作家さんで、昔やっと探して、彼女の初めての絵本『Alice in Wonderland(不思議の国のアリス)』を購入した思い出があります。
今回、原画の他に、今までの絵本が展示されており、まとめて見ることができてうれしかったです! どれも面白い絵本でした。
入選した作家の絵本が読める!
引用:板橋区立美術館公式X
展示室の4ヶ所に、ボローニャ展に入選した作家の絵本が読めるスペースがあります。イラストを観て、気になった作家の絵本がすぐに読めるのはうれしい!
日本では発売されていない作家の絵本を見ることができるのも楽しいです。
絵本制作の勉強を始めて、絵本の「見返し」が気になるようになりました。絵本の先生曰く、見返しは一番自由にさせてくれる箇所だそうで、今回も必ずチェックしてしまいました。見返しのイラストが物語の一部だったり、絵本のモチーフが描いてあったり、楽しませてもらいました。
イベントも色々
美術館の入り口付近にイベントのお知らせも。子ども向けのワークショップなど、近くに住んでたら楽しいだろうな〜。いつか参加してみたいです。
おまけ
どの駅からも遠い、板橋区立美術館。美術館の前にこんな旗が立ってました。だよね〜〜と思ってしまった。